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2025年4月より育児休業給付金の支給対象期間延長時の手続きが変わりました

2025/04/30

少子高齢化が進み人手不足が深刻化する中、育児をしながらでも働き続けられる

職場環境づくりが求められており、近年、育児に関するさまざまな法改正が行われています。

大きな改正としては、2022年10月の産後パパ育休(出生時育児休業)の創設、

育児休業の分割取得などがありました。

そして2025年4月には、出生後休業支援給付金や育児時短就業給付金の創設、

子の看護等休暇の対象となる子どもの範囲や取得事由の拡大、所定外労働の制限 (残業免除) の

対象となる労働者の範囲の拡大などが行われました。

今後もさまざまな改正が予定されています。

今回は、2025年4月に施行された改正のうち、育児休業給付金の支給対象期間を

延長するときの手続きの変更について解説を行います。

育児休業の延長

1歳に満たない子どもを養育するための育児休業は、

「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律(育児・介護休業法)」に

規定されており、原則として1歳に達する日(1歳の誕生日の前日)までのあいだ、

従業員が申し出た期間休むことができる制度です。

ただし、以下のすべての要件を満たす場合、1歳6か月まで育児休業を延長することができます。

その後も要件を満たせば最長2歳まで再延長することができます。

なお、「育児休業期間延長の要件」の図の(※1)パパ・ママ育休プラスを利用する場合の

読み替えは、これ以降の文章にも適用してください。

育児休業を延長する従業員が雇用保険や社会保険に加入している場合、

労務担当者は各種保険の手続きを行う必要があります。

さらに、育児休業給付金の支給終了日と育児休業の終了日が

同日にならない場合があることにも注意が必要です。

育児休業給付金の支給終了日の考え方は以下のとおりです。

<子どもが1歳に達する日(1歳の誕生日の前日)まで育児休業をした場合>

育児休業給付金は、子どもが1歳に到達する日の前日(1歳の誕生日の前々日)まで支給されます。

(例:子どもの誕生日が10月1日の場合)

・育児休業終了日:9月30日

・育児休業給付金の支給終了日:9月29日

<子どもが1歳になる前に職場復帰する場合>

育児休業給付金は、職場復帰日の前日まで支給されます。

(例:子どもの誕生日が10月1日で、1歳になる前の9月1日に職場復帰する場合)

・育児休業終了日:8月31日

・育児休業給付金の支給終了日:8月31日

1歳6か月または2歳まで延長する場合も同様の考え方となるため、

労務担当者は従業員に案内ができるよう仕組みを理解しておくことが重要です。

育児休業給付金の支給対象期間延長手続きの変更点

通常、保育所などへの入所申込みは、職場復帰を目的に行われます。

しかし、実際には子どもを入所させるつもりがないにもかかわらず、

あえて自宅や勤務地から遠い保育所や倍率が高い保育所に申し込む人がいることで

本当に保育を必要としている家庭への影響が生じているなど、

制度趣旨に反する行為が問題となっていました。



そこで、制度の適切な運用と自治体の負担軽減のため、

保育所などに入所できない場合における育児休業給付金の支給対象期間延長の

手続きが見直されることになりました。

新しい要件は、2025年4月以後の期間について支給対象期間の延長を行うときに適用されます。

2025年4月以降の変更点は以下のとおりです。


保育所などへの入所ができなかったことの証明書類を提出するだけでは認められなくなります。

提出された書類を基に、速やかな職場復帰を目的とした入所申込みであったかをハローワークが確認します。

2つ目の変更点は添付書類の追加です。

申込みの目的が速やかな職場復帰であることを証明するため、2025年4月以降は、

自治体へ保育所の入所申込みをしたときの申込書の写しと、

育児休業給付金支給対象期間延長事由認定申告書を提出します。

引き続き、保育所などに入所できなかったことを証明する「入所保留通知書」も

必要ですので、基本的に3つの添付書類が求められます。

育児休業給付金支給対象期間延長事由認定申告書は指定の様式があり、

従業員本人に記入してもらう必要があります。

ほか2つの書類は指定の様式がなく、自治体により異なります。

参考|厚生労働省『育児休業給付金支給対象期間延長事由認定申告書』

参考|厚生労働省『2025年4月から保育所等に入れなかったことを理由とする育児休業給付金の支給対象期間延長手続きが変わります』

育児休業給付金の支給対象期間延長手続きのポイント

2025年4月からは、出生後休業支援給付金が創設されます。

これに伴い、育児休業給付金の支給対象期間延長手続きの様式の名称が

「育児休業給付金支給申請書」から「育児休業給付金・出生後休業支援給付金支給申請書」に変わりました。

支給対象期間の延長を行うときはこの申請書を使用して、「支給対象となる期間の延長事由-期間)」に

必要な情報を記載してください。

そして添付書類を添え、企業の所在地を管轄するハローワークに申請を行います。

延長手続きを行うタイミングは、以下①②のいずれかの給付金支給申請を行うときです。

①子どもが1歳(再延長の場合は1歳6か月)に達する日前の

支給単位期間について、子どもが1歳(再延長の場合は1歳6か月)に達する日以後最初の支給申請のとき

②子どもが1歳(再延長の場合は1歳6か月)に達する日以後の日を含む支給単位期間の支給申請のとき

1 支給対象期間を延長するための要件

2025年4月以降、保育所などに入所できない場合に育児休業給付金の支給対象期間を延長するときは、

以下の①~③すべてを満たす必要があります。


2 添付書類の主なポイント

以下の表は、1歳6か月または2歳までの育児休業延長について、

その可否を検討するうえで重要となる主な項目とポイントです。

育児休業の取得前または取得中の従業員に対し、育児休業給付金の説明を行うときは、

以下の点に注意して保育利用の申込みをするよう説明しておくことをおすすめします。


以下の資料に、入所保留通知書等の発行年月日に関する具体的な日付を例にした説明が記載されています。

参考にしてください。

参考|厚生労働省『育児休業等給付の内容と支給申請手続』


おわりに

今回の変更点は、2025年4月以後の期間で支給対象期間の延長を行うときに適用されます。

単に準備する書類が増えただけでなく、制度の適切な運用を目指した改正のため、

確認すべき箇所が増えています。

育児休業の延長手続きをスムーズに行うために、改正内容を確認し、整理しておくことをおすすめします。

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