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【2025年度版】 労働保険の年度更新の申告が始まります

2025/05/16

2025年6月2日(月)、労働保険の年度更新申告の受付が開始されます。  

年度更新とは、毎年6月1日から7月10日までのあいだに労働保険料を計算し、

納付を行う定例の手続きです。

厚生労働省から企業宛てに、5月末から6月初旬に到着するよう、

年度更新の申告書および納付書が同封された緑色(青色)の封筒が発送されます。

本年の申告・納付期限は、7月10日(木)です

今回の記事では、年度更新の基本情報に2025年度の変更点を盛り込んでお伝えします。 

労働保険の年度更新とは

労働保険は、労災保険と雇用保険の2つの保険の総称です。



年度更新とは、前年度の概算保険料の確定および精算と、

当該年度の概算保険料の申告・納付をあわせて行うことをいいます。

年度更新は、従業員を雇用するすべての企業が実施しなければならない手続きです。(※)

※従業員が0人であっても、今後雇用する見込みがあり引き続き労働保険を継続する場合や、事業を廃止した場合も年度更新の対象となります。

保険料を算出するため、まず前年度に従業員へ支払った賃金を月ごとに集計します。

次に、集計金額に対して業種ごとに定められた保険料率を掛けて保険料を算出します。

賃金の集計期間は前年度4月1日から3月31日で、集計する賃金は、

集計期間の労働に対して支払いが確定した賃金です。

労働保険は、事業の種類により「一元適用事業」と「二元適用事業」に区分されます。

一元適用事業は、労災保険と雇用保険をあわせてひとつの労働保険の保険関係として取り扱い、

労働保険料の申告・納付を行います。

「二元適用事業以外のすべての事業」がこれに該当し、緑色の封筒が届きます。

二元適用事業は、労災保険と雇用保険を別々の保険関係として労働保険料の申告・納付を行います。

以下の事業が二元適用事業に該当し、緑色(労災保険)と青色(雇用保険)の封筒が届きます。

・農林水産の事業

・土木、建設の事業

・港湾運輸の事業

・都道府県、市区町村などの事業



2025年度の年度更新手続きの変更点

2025年度の年度更新に関する保険料率や様式の変更点をお伝えします。

1 年度更新に関する保険料率

【雇用保険料率(事業主負担、従業員負担)】

2025年4月1日から2026年3月31日までの雇用保険料率は、前年度から引き下げられました。

参考|厚生労働省『令和7(2025)年度の雇用保険料率について』

【労災保険率等(事業主負担のみ)】

労災保険率は原則として3年ごとに改定されます。

2024年4月に労災保険率が改定されたため、2025年度の労災保険率は前年度と同様です。

労災保険率は事業の種類ごとに定められています。2025年度の労災保険率は以下のとおりです。


建設事業の労務費率も前年度と同様です。



第2種特別加入保険料率も昨年度と同様ですが、2024年6月11日付で特定フリーランス事業が

労災保険の特別加入の対象となったことを受け、区分番号に特定フリーランス事業が追加されました(特12)。

これに伴い既存区分番号も変わっているため、留意してください。

詳しくは以下のパンフレットで確認してください。

参考|厚生労働省『令和7年度の労災保険率等について~令和6年度と同率です~』

【一般拠出金率(事業主負担のみ)】

一般拠出金は、2018年度以降改定はありません。業種を問わず、一律「0.02/1,000」です。

2 年度更新申告書や算定基礎賃金集計表の様式は昨年度と同様の様式です。

今年度の年度更新申告書および算定基礎賃金集計表の様式は、昨年と同様の様式となっています。

ただし、雇用保険料率が変更されたため、雇用保険料の計算に関する記載内容に注意が必要です。

3 2025年度に対応した年度更新申告書支援ツールが公開

毎年、年度更新の申告書にあわせた計算支援ツールが厚生労働省から公開されます。

Excelで作成されているため使いやすくなっています。以下からダウンロードしてください。

参考|厚生労働省『年度更新申告書計算支援ツール』

年度更新申告書を作成するときのチェックポイント

1 労働保険の対象者

労働保険の対象者は、労災保険と雇用保険で異なります。

賃金を集計するときには、対象となる従業員を正しく選定しないと正確な保険料を計算できません。

【労災保険】

時間・日数・期間など名称や雇用形態を問わず、労働の対償として賃金を受け取るすべての従業員が対象です。

役員や、事業主と同居している親族は対象外となります。(派遣従業員は、派遣元事業場での適用)


【雇用保険】

正社員や契約社員、パート・アルバイトなど名称や雇用形態にかかわらず、

すべての雇用保険の被保険者が該当します。

雇用保険に加入している兼務役員も含まれます。

雇用保険の被保険者とは、1週間の所定労働時間が20時間以上

かつ31日以上雇用されることが見込まれる従業員です。

(雇用保険マルチジョブホルダー制度による65歳以上の被保険者も対象)

参考|大阪労働局『労働保険の適用単位と対象となる労働者の範囲』

2 労働保険料の計算に含める賃金、含めない賃金

従業員へ月ごとに支払う賃金には、労働保険料の計算に含める賃金と含めない賃金があります。

賃金、手当、賞与など名称にかかわらず、労働の対償として支払うすべてのものが対象となります。 


【含める賃金】

基本給、各種手当、賞与、通勤費(定期券)、休業手当 など


【含めない賃金】

慶弔見舞金、退職金、解雇予告手当、休業補償費 、実費弁償的な費用 など

3 年度更新書類に同封されている申告書の確認

年度更新書類に同封されている申告書には、企業の労働保険料に関する重要な情報が記載されています。

登録情報を確認してから手続きを始めるようにしてください。

電子申請や年度更新申告書支援ツールを使用するときは、登録情報を入力して手続きを進めてください。

また、企業側で管理している情報と登録情報が異なるときは、

年度更新の封筒に記載されている管轄の都道府県労働局にお問い合わせください。


①労働保険番号

②申告済概算保険料額

③各種区分

④保険料率

⑤口座振替の有無 (口座振替の申込手続きが完了しているときは「●口座振替●」と印字されています)

⑥電子申請対象の有無(電子申請義務化の対象となる企業(※)は「●電子申請対象●」と印字されています)

⑦メリット制の有無(メリット制の適用となる企業は印字されています)

※資本金、出資金が1億円を超える法人など一定要件を満たす法人は、電子申請による手続きが義務化されています。

参考|厚生労働省『2020年4⽉から特定の法人について電子申請が義務化されます。』


年度更新に効率よく対応するために

1 登録情報の確認

年度更新は、前年度4月1日から3月31日までのあいだで、

従業員へ月ごとに支払うすべての賃金を集計することから始まります。

給与ソフトで年度更新用の賃金を集計できるものもありますが、

入社日や退職日、雇用保険の加入有無、労働保険の対象となる賃金設定などに

誤りがあると、正しい保険料が計算できません。

毎月の給与計算を確実に行っていれば、急な対応を避けることができます。


2 電子申請による申告書の提出

電子申請には、前年度の情報を取り込めたり、入力チェック機能や

自動計算機能を効率よく使えるというメリットがあります。

提出先である労働局や労働基準監督署の窓口に出向く必要がなく、

申告書記入漏れや記入ミス防止にも効果的です。

参考|厚生労働省『労働保険は電子申請』


3 保険料の口座振替

口座振替に手数料はかかりません。

口座振替で納付すれば、毎回金融機関の窓口に行く手間や待ち時間が解消されます。

納付漏れも防止でき、延滞金の心配がありません。

納付期限についても、納付書で保険料を納付するより保険料の引き落としに最大2か月のゆとりができます。

なお、2024年度より対象金融機関に「ゆうちょ銀行」が加わっています。


2025年度の全期または第1期の申込締切は終了しています。

新たに口座振替を検討したり口座情報を変更する場合は、第2期の申込締切日(8月14日)までに

口座振替依頼書を金融機関の窓口にご提出ください。


(出典)厚生労働省『労働保険料は口座振替が便利です!』


「水力発電施設、ずい道等新設事業」の元請工事がある場合

建設事業のうち、2018年(平成30年)4月1日から2021年(令和3年)1月31日までのあいだに

開始した元請工事について、業種番号31「水力発電施設、ずい道等新設事業」がある場合は、

すでに申告している保険料額等に変更が出る可能性があります。

すでに厚生労働省から連絡済みの事業以外で、該当する元請工事がある場合は

管轄の都道府県労働局へ連絡をしてください。

詳しくは、以下のリーフレットをご確認ください。

参考|厚生労働省『「水力発電施設、ずい道等新設事業」にかかる労務費率及び労災保険料について』

まとめ

年度更新は、毎年必ず行う手続きです。慌てないよう、必要な情報を早めに集めるようにしてください。

申告期限の7月10日(木)は、納付期限でもあります。

納付が難しいときは管轄の労働局または労働基準監督署に相談し、分割などの対策を取るようにしてください。

期限までに納付ができず滞納の状態になると、延滞金などが発生することがあるため、計画的な手続きをおすすめします。

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