【2025年度版】被扶養者資格の再確認について
全国健康保険協会(以下、協会けんぽ)から、各企業へ「被扶養者資格の再確認」に
関する通知が送付される時期となりました。
この再確認は、被扶養者が現在も引き続き被扶養者としての要件を
満たしているかを確認するため、法令に基づき毎年実施されています。
特に2025年度は、例年に比べて変更点が多いため、対応に注意が必要です。
今回の記事では、協会けんぽに加入している企業の労務担当者が
実務において理解しておくべきポイントを解説します。
なお、健康保険組合でも同様に被扶養者資格の再確認が実施されますが、
実施時期や確認方法は協会けんぽと異なる場合があるため、ご加入の健康保険組合にご確認ください。
もくじ
昨年度からの変更点
被扶養者状況リスト等の到着
扶養状況の確認手順
被扶養者リストの記入
書類の提出
昨年度からの変更点
2025年度の「被扶養者資格の再確認」(以下、再確認)における変更点は、以下のとおりです。
・対象者の変更
・被扶養者状況リストの変更
・添付書類の簡略化
なお、再確認の対象となる被扶養者がいない企業には書類は発送されないため、
今回の再確認および提出は不要です。
1 対象者の変更
昨年度までは原則すべての被扶養者が対象でしたが、2025年度は、扶養解除の可能性が高い
被扶養者に絞って再確認が実施されます。
具体的には、以下のいずれかの条件に該当する被扶養者が対象となります。
【年収130万円について】
今回の記事内で、「年収」「課税収入」など年間の収入を「130万円」と記載している
部分については、以下のように読み替えて対応してください。
・被扶養者が60歳以上または障害厚生年金を受けられる程度の障害を有する場合は180万円
・2025年12月31日時点の年齢が19歳以上23歳未満(被保険者の配偶者を除く)の場合は150万円
2 被扶養者状況リストの変更
再確認した内容を記載する「被扶養者状況リスト」が、以下のように変更されました。
①確認区分の廃止
昨年度までは、被扶養者状況リストに記載された7種類の確認区分にしたがって、
被扶養者の再確認を行いました。
2025年度からは確認区分が廃止され、すべての対象者に対して同じ観点で確認を行います。
②対象者のみ印字
昨年度までは、確認不要の被扶養者の氏名等も被扶養者状況リストに印字されていましたが、
2025年度は再確認が必要な被扶養者のみリストに印字されています。
③事業主控えの廃止
被扶養者状況リストは、昨年度までは提出用と事業主控えの複写式でした。
しかし2025年度からは、事業主控えが廃止され、1枚の様式(単票式)となります。
3 添付書類の簡略化
企業や協会けんぽの業務効率化を図るため、以下の書類を除き、
被扶養者状況リストの添付書類が不要となりました。
・「一時的な収入変動」に係る事業主証明書
・被扶養者異動届(※1)および従来の紙の健康保険証(※2)
※1:電子申請が難しい場合は、被扶養者状況リストに同封されている被扶養者調書兼異動届
※2:資格確認書や高齢受給者証、特定疾病療養受療証なども交付されている場合はこれらも添付
被扶養者状況リスト等の到着
再確認の対象となる被扶養者がいる企業に対して、協会けんぽから被扶養者状況リストなどの
書類が2025年11月上旬に発送されています。
企業はこの被扶養者状況リストをもとに、被扶養者資格の再確認を進めていきます。
1 書類の種類
協会けんぽより書類一式が届いたら、以下の書類が同封されているか確認します。
・被扶養者状況リスト
・説明用リーフレット
・被扶養者調書兼異動届
・返信用封筒(協会けんぽ私書箱)
・マイナ保険証利用促進チラシ
なお、昨年度まで同封されていた「被扶養者現況申立書」は
2025年度から提出不要のため同封されていません。
2 提出期限
2025年12月12日(金)
扶養状況の確認手順
ここからは、被扶養者資格の再確認の手順について解説します。
1 対象者の確認
被扶養者状況リストに記載された被扶養者が、今回再確認の対象となります。
対象となる被扶養者の条件については、「昨年度からの変更点」を確認してください。
2 状況確認とその後の対応
対象となる被扶養者を扶養する従業員に対して、以下の①〜③の順に被扶養者の状況を確認します。
確認結果によっては、扶養解除の手続きなどが発生する場合があります。
①資格重複確認
②同居確認
③収入確認
状況確認の方法は文書、口頭のどちらでもかまいません。
なお、文書で確認を依頼するときに活用できるテンプレートは、協会けんぽのサイトからダウンロードできます。
参考・ダウンロード|協会けんぽ『健康保険被扶養者資格再確認調査票』(Excel)
①資格重複確認
被扶養者が他の健康保険に加入していないかを確認します。
確認の結果、上記のいずれかに該当した場合は、それぞれの結果に応じて表の右欄にある対応を行ってください。
上記のいずれにも該当しない場合は、次の「②同居確認」へ進んでください。
【扶養解除の手続き】
扶養解除となる被扶養者については、「被扶養者調書兼異動届」を提出します。
あわせて、被扶養者の健康保険証(従来の紙の健康保険証、以下同じ)の返却が必要です
(資格確認書や高齢受給者証、特定疾病療養受療証なども交付されている場合はこれらも返却)。
参考・ダウンロード|協会けんぽ『健康保険 被扶養者調書兼異動届(解除用)』
なお、健康保険証を返却できない場合は「健康保険被保険者証回収不能届」、
資格確認書を返却できない場合は「健康保険資格確認書回収不能届」をそれぞれ提出してください。
参考・ダウンロード|協会けんぽ『健康保険 被保険者証回収不能届』
参考・ダウンロード|協会けんぽ『健康保険 資格確認書回収不能届』
また、扶養解除の決定まで1〜2か月程度かかる場合があります。
手続きを急ぐ場合は、電子申請を行うか、通常の「被扶養者異動届」を日本年金機構事務センターへ
直接提出します。
②同居確認
同居が扶養要件となる続柄の場合、被保険者と別居していないかを確認します。
被保険者との同居が扶養認定の要件となる続柄については、以下の図を参考にしてください。
(出典)協会けんぽ『事業主・加入者のみなさまへ「令和7年度被扶養者資格再確認の実施方法等について」』
確認した結果、被保険者と別居している場合は、扶養解除の手続きを行います。
被保険者と同居している場合は、次の「③収入確認」へ進んでください。
③収入確認
被扶養者の年収が収入要件を満たしているか確認します。
被扶養者が被保険者と同居または別居しているかによって要件が異なることに注意してください。
確認した結果、上記のいずれかに該当した場合は、扶養解除の手続きを行います。
ただし、被扶養者の年収が130万円以上であり、その原因が人手不足による労働時間延長等に伴う
一時的なものである場合は、以下の【一時的な収入変動の場合】の対応を行います。
【一時的な収入変動の場合】
年収130万円以上の原因が、人手不足による労働時間延長に伴う一時的なものである場合、
特例措置として「一時的な収入変動」に係る事業主の証明書を提出することにより、
原則引き続き被扶養者として認定されます。
以下の証明書を従業員に渡し、被扶養者の勤務先で証明書を発行してもらうように伝えてください。
ただし、この特例措置の適用は連続2回までです。
3年連続となる場合は一時的なものとはみなされないため、扶養解除の手続きを行います。
参考・ダウンロード|協会けんぽ『被扶養者の収入確認に当たっての「一時的な収入変動」に係る事業主の証明書』(Word)
参考・ダウンロード|協会けんぽ『被扶養者の収入確認に当たっての「一時的な収入変動」に係る事業主の証明書』(PDF)
【いずれにも該当しなかった場合】
①〜③のいずれにも該当しなかった場合、特別な対応は必要ありません。
被扶養者リストの記入
前述の「扶養状況の確認手順」の確認結果に応じて被扶養者状況リストを記入します。
1 「変更なし」の場合
被扶養者状況リストの「変更なし」欄にチェックを入れます。
当該被扶養者は、引き続き被扶養者となります。
2 「扶養解除」の場合
当該被扶養者は、扶養解除の手続きが必要です。
扶養解除の手続きの様式は以下の2種類があり、どちらを使用するかによって
被扶養者状況リストのチェック欄が異なります。
使用する様式の選択については、後述の「書類の提出」を確認してください。
・被扶養者調書兼異動届(被扶養者状況リストと一緒に届く様式)
・被扶養者(異動)届(通常の扶養異動時にも使用する様式)
①「被扶養者調書兼異動届」により扶養解除手続きを行う被扶養者
「被扶養者調書兼異動届を添付」欄にチェックを入れます。
②「被扶養者異動届」により扶養解除手続きを行う、またはすでに行った被扶養者
「日本年金機構へ届出済」欄にチェックを入れて、扶養解除の届出日を記入します。
書類の提出
以下の表を参考にして、書類の提出先、書類名および提出方法を確認してください。
なお、扶養解除となる被扶養者がいる場合、手続きの迅速化のため、
日本年金機構への手続きは電子申請が推奨されています。
【事業主控えの保管】
2025年度から、被扶養者状況リストは複写式ではなく単票に変更されました。
事業主控えがないため、必要に応じてコピーを保管することをおすすめします。
【提出期限】
2025年12月12日(金)
おわりに
本来、被扶養者が扶養の認定要件に該当しなくなった場合、その都度、従業員が企業に
報告しなければなりません。しかし、扶養から外す報告は忘れやすいもののひとつです。
そのためにも、卒業・就職等によりライフスタイルが変わる人の多い4月前後に扶養の外し忘れが
ないよう社内周知するなど、従業員の認識を高めておくことをおすすめします。


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